『一日だけのピーターズレストラン 』
『一日だけのピーターズレストラン 』
桜舞う名古屋城のお堀から堀川を抜けて、東大久手より名鉄瀬戸線沿線の桜を愛でながら尼ヶ坂へとのんびりと散歩する。日が暮れるころ一路『ピーターズレストラン』へと向かう。桜の余韻とウエルカムドリンクを楽しみながらいつのまにかAricoのピアノの音色に包まれる。
ようこそ、『ピーターズレストラン』へ。
今宵限りのピーターズレストランのはじまりです。
Aricoさんと2度、3度お会いしているうちに、Aricoさんのピーターズレストランへの思い入れと、私の尼ヶ坂への思いがシンクロしていることに気づきました。しかし「ライブハウスでもない、レストランでもない尼ヶ坂のサロンでどのように演奏したらよいのか?」煮え切らないAricoさんのご様子を見ていぶかしさを感じていました。いっそ考えることからは離れ、Aricoさんの記憶の中にあるファジーなピーターズレストランのイメージへ飛び込もう。私の頭の中でそれを描いてみることにしたのです。まるで、映画「ピーターズレストラン」の一シーンのように。
皆さんがそれぞれの「ピーターズレストラン」楽しむ。幻のレストラン。何か懐かしく、何処か切ない想い出を、Aricoさんのピアノと美味しい料理のおもてなしで、とっておきの桜の夜をお楽しみ頂けたら幸いです。
そして、お別れは。
「いつのひかまた『ピーターズレストラン』でお待ちしております。」
尼ケ坂 今枝 和仁
生まれる前の遠い記憶のかけら。
小さな子供の頃の無邪気な時間を覚えていますか?・・・
2006年11月、私は懐かしさと愛おしさ、そしてフラジャイルな輝きに満ちた存在に出会った♪彼の名は『三信ビルディング』〜それは取り壊し寸前の昭和初期に建てられた古いビルだったが、出会った瞬間、魂が大きく揺さぶられて私の内側が変容した。まるで生まれる前から在った記憶に一瞬還ったような、また無邪気さに充ちた『自己』との新たな発見のようでもあった。そして瞬く間に、不可思議で柔らかなエネルギーに包まれた♪
初めて訪れたのにやはり懐かしい場所『尼ヶ坂』で、今はもういなくなった親しいヒトや、自分の子供の頃のモノクローム写真、そして三信ビルが解体される前、携帯カメラで映した写真などで一つの『小さな物語』を構成してプロジェクターで映して、新たに作曲した『ピータースレストラン』組曲の世界を弾いてみたい。そして昔々、三信ビルに実在した『ピータースレストラン』を訪れた人達が、当時家族や友人、或いは恋人たちと沢山紡いだであろう心温まるひと時を、ぜひ再現してみたい。
Arico
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■開催日時:4月4日(土) 18:00〜21:00
■定員:30名 予約制
■受付:4月3日(金)まで
■入場料:8000円 ( ウェルカムドリンク + 本格イタリアン + スウィーツ + 紅茶 )
ドリンク 4000円(ビオ・ワインの様々なセレクション、ビール、その他飲み放題)
■ドレスコード: テーマは「桜」
■ご予約:info@amagasaka.com 052-917-5800
名前、住所、電話番号、メールアドレスをお知らせください。
< 今日のPeater's Restaurant の厨房 >
Chef: Cafe Kante Manfila (カンテ・マンフィラ)三輪健二
Patissier: Alouette(アルウェット)
Tea: T/M (ティー・エム)
Win: Peshico (ペシコ)
Drection & Coordination : 尼ヶ坂 今枝和仁
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Aricoさんからのメッセージ
Arico プロフィール
Aricoのデビューにはさまざまな人の輪が、ゆるやかに、たおやかに絡み合う。
そのはじまりは、ひたすら内省し、曲を作り続けていた20年ほど前に遡る。
武蔵野音大での正統な音楽教育に飽きたらず、大学の授業よりアート系の映画鑑賞や前衛芸術家とのコラボレーションに明け暮れた学生時代。
その後、邦楽の音の導きで、京都へ移住。
それまで片時も離れなかったピアノから、「笙」や「タブラ」に身を任せる日々…。Aricoの音への創造欲求は、好きな香り(アロマ)を辿る旅のように揺れ動く。
そうして再びピアノに指を落とし始めた頃、京都・北大路の人形が蠢く不思議なカフェで巡り会ったのがデザイナーの羽良多平吉。彼との出会いにより、Aricoのサウンドがカセットテープに内包され、小さな贈り物として、ひとりひとりの手から手へ、まるで何本もの見えない銀色の糸が放たれていくように、さまざまな場所の、さまざまな人 々へと届けられていくこととなる。
それらは元YMOの細野晴臣や、当時ニューヨーク在住だった作家の辻仁成、そしてAricoの高校時代からの憧れの存在であった松岡正剛のもとにも届けられた。
(ご存じの方も多いであろうが念のために言っておくと、羽良多 はあの『外は、良寛』や『フラジャイル』などのエディトリアル・デザインを手がけている)
そして松岡もまた、Aricoをいろいろな人へと繋いでゆく。それはまさに松岡流、人と人との出会いのエディット。そうして松岡は、「年齢も近いし、何より感性が近いからきっとすぐに気があうだろう」と、Aricoを、岐阜在住ながら、東京、四国などで企画の仕事をしていた古田菜穂子に紹介することとなる。当然の如く二人は即座に意気投合し、その半年後には大垣市での『音と香りと言の葉と』と題された、松岡の声(voice)と話にAricoのピアノと香りが絡み合うというフォーラムを古田が構成・演出する。
その後は高松の民家博物館・四国村にて、やはり私が企画した松岡の『日本再発見塾 ~面影の国』という講義の中で、松岡と会話するようにAricoのサウンドがコラボレイトするなど、Aricoと古田は、松岡の瞳と手と声と意図の中でさまざまな世界を紡ぎ出してきた。
1999年11月には、辻仁成の初監督映画『千年旅人』の映画音楽に起用され、Aricoは サウンドトラック『kanata』でメジャーデビューを果たす。 2000年7月にはTVドラマ『 愛をください』の劇中音楽も担当、サウンドトラック『Blue Sky on the Park』をリリース。2001年春には、コンピレーションアルバム『Image2』や、辻仁成・江國香織の著書「冷静と情熱のあいだ」のコンピレーションアルバムにも参加。
その後、辻の第2作 『ほとけ』、最新作『フィラメント』の映画音楽も手がけている。 Aricoの香るような音が紡ぐ世界は、時間と空間を超えて聴く者のこころにゆるやかに届き、そして人は知らずして癒されていく…。
(文中敬称略 文・古田菜穂子)