『ボブ・ギル 展』開催にあたり
ボブ・ギルは、 イラストレーター、デザイナー、コピーライター、映像作家、教師など様々な職種で幅広く活躍する生粋のニューヨーカーです。イラストレーターであり、グラフィクデザイナーでもある多才なボブ・ギルは、写真を多用していたモダニズムが主流の50年代のグラフィックデザインの世界に「コンセプチュアル」と言う概念を植え付けた仕掛人のひとりとして高い評価を得ています。アメリカ代表するニューヨーカー、エスクワイア、クィーンマガジン、ノヴァマガジン、ニューヨーカー、ニューヨークタイムス、タイム誌などをクライアントに活躍していました。ポストモダンの先駆者、シーモア・クワスと、ミルトングレイザーが率いる『プッシュピン・スタジオ』が60年代のポップカルチャーを震撼させたとしたら、70年代から90年代、アレンフィッシャーとコリンフォーブスと共に設立した多国籍デザイン会社『ペンタグラム』は、イギリス、アメリカ、日本を始め世界のコーポレートデザインの前衛を築きました。
ボブ・ギルが描くイラストは多くが線画のみのものや単色で彩色した端的な表現が特徴です。イラストとコピーを混在させた見事なタイポグラフィーはボブギルスの新骨頂といるでしょう。ニューヨークのイラストレーターらしい自由な感覚で社会を風刺しているその毒っ気とウィットは痛快なまでに潔くボブ・ギルのもう一つ特徴とも言えます。現在は私の母校であるNYのマンハッタンにある School of Visual Arts で教鞭をとりながら若手デザイナーの育成にも助力されています。
ニューヨークでデザインを学び(もちろん、ボブ・ギルの授業ではこっぴどくやられましたが!)、ニューヨークでデザインを知った私にとって「ボブ・ギル」はデザインの神様のひとりです。そのボブ・ギルの初個展が日本で開催されることを知りひさしぶりに胸が高ぶりましたが。そしてまさか、地元名古屋で、しかも、尼ケ坂ギャラリーで開催させて頂くことになるとは思ってもよらない出来事でした。このようにニューヨークと名古屋(日本)を繋がりと縁を強められ、お世話になったニューヨークと名古屋の皆様へ恩返しできますことを大変光栄に思います。
この素晴らしい機会を与えて下さった、有限会社クワノトレーディング代表桑野素弘氏のご協力とご好意に大変感謝致します。
ありがとうございました。
尼ケ坂サロン ディレクター 今枝 和仁
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Bob Gill (ボブ・ギル)
1931年ニューヨークに生まれる。1954年頃からフィリーランスデザイナー、イラストレーターとしてニューヨークで活躍したのち、1960年に渡英、1962年4月1日にはアレンフィッチャー、コリン・フォーブスと共にデザイン・グループ『フィッチャー・フォーブス・ギル』 [ Fletcher /Forbes / Gill (F/F/G)] を結成、このグループは後年テオ・クロスピが加わり多国籍デザイン事務所『ペンタグラム』に発展する。
ギルはその後、1967年にF/F/Gを脱退して再びフリーのデザイナー、イラストレーターとしてロンドンで活動。ジョージ・ハリソンの『Wonderwall Music』のジェケット・デザインなども手掛ける。1975年、ニューヨークに活動の拠点を移動。1979年には画家ロバート・ラビノウィッツと共にディレクションを行ったブロードウェイミュージカル「ビートルマニア」が好評を博す。その後、ヨーロッパ、南及び西アメリカの各都市で個展を行い、New York Art Director Club Hall of Fame、Designer and Art Directors Association of London, Lifetime Achievement Awardに選ばれている。1991年ニューヨーク・アート・ディレクターズ・クラブ名誉殿堂に入る。School of Visual Arts などでデザインの教育活動も行う。現在、妻でもあるニューヨークパブリックラジオのSara Fishkoと息子ジャック娘ケイトとニューヨークに滞在中である。
主な著書に
[Bill Gill Illustration(2004)]
[Graphic Design as a Second Language(2003)]
[Unspecial Effects for Graphic Design(2001)]
[Graphic Design Made Difficult(1992)]
[Ups&Downs(1974)]
[AtoZ(1961)]
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開催場所:尼ケ坂ギャラリー2F
開催期間:11月20日(金)〜12月9日(水)
開催時間:11時30分〜20時00分
お問合せ:info@amagasaka.com お電話は、052-917-500